学校にて 8
涼香が母と入れ替わっていると聞いて菜々美は、しばらくは安全に過ごせると安心していた。
涼香が物を飛ばせば、だいたい菜々美に当たる。あまりの当たりやすさに不名誉なあだ名がつく程。
「ここね、今日も可愛いわよ」
「えへへ~」
普段なら恥ずかしくて言えないことも、テンションが高ければ言うことができる。今の菜々美はある意味無敵だった。
そんなデレデレしている菜々美の姿の写真を撮るここね。冷静になったあとで見せてあげると爆発すること間違い無しだ。
「私の心の全てをここねに向けることができる……!」
警戒する必要が無いということは、警戒に割いていたリソースをここねに向けることができる。これは学外でここねといる時と同じ状況になれるのだ。ただ、警戒していても被害は受けているのだから無断な気もする。
「はーい、爆発するから離れてー」
そして菜々美がそろそろ冷静になるだろう頃に声掛けが始まる。涼香のいない物足りなさを菜々美の爆発で少しは埋められるだろうか。
「これが噂に聞いていた爆発ね、面白そうじゃない」
初めて見る爆発に涼香の母のは好奇心を剥き出しにする。
そして時間が経つにつれ、菜々美の顔が赤くなる。
「あっ……ああああっあああああ……!」
今にも恥ずかしくて爆発しそうな菜々美に追い打ちをかけるように、先程撮った写真を見せる。
「菜々美ちゃん、大好きだよ」
「ああああああああああああああああああああああ‼」
いつものように、爆発する菜々美であった。




