学校にて 3
「誰か涼香を止めろぉ!」
ある日のこと、三階の廊下でそんな声が響いた。
「止まらないではないのぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
ドップラー効果を起こしながら、廊下を滑るのはクソデカビート板に乗った涼香。ちなみに、廊下にはローションが広がっていた。
経緯は単純。涼香がローションが入ったバケツを倒し、クソデカビート板も倒し、その上に乗ってしまったのだ。
滑る涼香を止められる者はいない。誰もがローションに足を取られ、それどころでは無い。
「ロープ班!」
そんな声と共に、廊下の行く先にロープ(危ないから包帯)が張られる。
ロープ班の二人は、なんとか廊下の両端に立ち、滑る涼香を迎える。
「ダメではないのぉぉぉぉぉぉぉ!」
「「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」
それでも涼香の勢いは止まらず、ロープを張った二人までも滑ってしまう。
これでも止められなければ、最も確実かつ、最後の手段を使うしかない。
「壁‼」
その声と共に、廊下に壁が建設される。簡易な物だが、涼香を止めるには十分だろう。そう思っていたが、一人の声が響いた。
「壁よりも坂! スロープ!」
その声は信用に値する人物の声だ。壁建設班はその言葉に従い、建てた壁を斜めにして坂を作る。
そして涼香が突入。坂を登り、クソデカビート板が軽く天井に激突して、来た道を戻りだす。ロープ班の二人もだ。
そしてクソデカビート板はスタート地点まで戻り、壁に激突して動きを止めた。
「なかなかスリリングだったわ」
「「誰のせいだ」」
止まったクソデカビート板の上で爽やかな笑みを浮かべる涼香にツッコむ、ロープ班の二人であった。




