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涼音の部屋にて
「涼音……私はもう、ダメかもしれないわ……」
ある日のこと、唐突にそんなことを言った涼香に、涼音は心底面倒そうに返す。
「なにがですか?」
どうせロクなことじゃないと思いながら、大体予想はつくが、もしかしてがある。
しかし返ってたのは予想通りの言葉。
「涼音成分が足りないわ……‼」
「ほらやっぱり」
「なにがやっぱりなのよ! 仕方ないではないの! 涼音がいつもみたいに抱きしめてくれないからよ‼」
「いつも抱きしめてませんよ‼」
涼香に抱きしめられたりはするが、涼音から涼香を抱きしめることは基本的に無い。
「ほら抱きしめなさい! 嫌なら私から抱きしめるわ!」
涼音の返事を聞かず、すぐさま涼音を抱きしめる涼香である。いつも通りであった。




