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寄り道にて 3
「飽きたわね、帰りましょうか」
「日も短いですしね」
十月ともなれば、日の沈む時間は早い。まだ時間的余裕はあっても、暗い中あまり外を歩きたくない。
涼香と涼音、意見の合った二人は、ショッピングモールを出て駅へと向かう。
「久しぶりの寄り道、楽しかったわ」
「涼しいですし、たまにはいいですよね」
特になにも買わなかったが、こうしていつもと少し違う時間を過ごすのも悪くはない。
「ええ、久しぶりの鮮魚コーナーは良かったわ」
「魚のことしか考えてませんね……」
「一に涼音、次に海鮮よ!」
「良かった、海鮮に負けてなかった」
「涼音はなにがあっても私の一番よ」
「それはどうも」
とりあえず涼香に軽くタックルをする涼音であった。




