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寄り道にて
高校生の寄り道先なんて基本はショッピングモールだ。大都会に住んでいる訳ではないし、飲食から雑貨、本、ゲームセンターまでなんでも揃っているショッピングモールしか寄る場所は無い。
「久しぶりではないの」
「確かに、暑いうちは全く来ませんでしたね」
久しぶりにやってきたショッピングモール。涼香と涼音はその中を適当に歩いていた。
寄り道をしようと言ったはいいが、なにをするのか具体的なことは考えていなかった。ショッピングモールに行けばなにかしらあるのだから、特に考えなくもいいかという流れでだ。
「とりあえず鮮魚コーナーからね」
「ですよね」
なんでもあるショッピングモールに来て、とりあえず鮮魚コーナーへ行く女子高生は少ないだろう。
「やっぱ種類多いですね」
「ふふっ、どれも美味しそうではないの」
「今は買いませんよ」
「分かっているわよ」
そう言って、二人は鮮魚コーナーを堪能する。ただ見ているだけなのに、二人にとってはそれで満足だった。




