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昼休みにて 8
涼しくなったから、外に出る日が増える。でもそれは、かなり増えるということではない。
「なんかもったいない気がするんですよねー」
外でお弁当を食べながら涼音が言う。
「なにがもったいないのよ」
お米を食べながら涼香が聞き返す。
「いや、せっかく涼しくなったのに、ずっと家にいるし、特に寄り道もしてないですし」
「なるほど、私とお出かけしたいということね」
「うーん」
素直に『はい』と言えない涼音。これはこれで可愛いから良しとする。
「じゃあ、今日は涼音と寄り道をするわ!」
「無理に寄らなくても大丈夫ですよ」
「さあ寄り道をするわよ‼」
「えぇ……」
そう言いつつも、どこか嬉しそうな涼音であった。




