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学校にて
ある日のこと。
「涼音が可愛すぎるわ」
涼香が廊下を歩く菜々美を捕まえて言った。
「なんで私……」
他にも同級生はいるのだが、選ばれたのは菜々美であった。
「涼音が可愛すぎるのよ」
「何百回も聞いたわよ……」
「千七百三十八回目よ!」
「えっ、覚えてるの?」
「適当よ」
「えぇ……」
覚えていないと言いながら、本当は覚えているのではないかと思ってしまう。
そしてそう言われると、千回以上聞いているような気もする。実際どうかは分からないが、言っていても不思議じゃないなと、遠い目をする菜々美であった。




