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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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853/929

通学中にて 2

 ある日のこと。


涼音(すずね)、涼しいって良いわよね?」


 家を出て、駅までの道を歩きながら涼香(りょうか)が言う。


「秋は短くなった気がしますけどね」

「寒くなればそれで良いではないの。暑いより」

「確かに」

「寒くなれば、お姉ちゃんが温めてあげるわね」

「いらないです」

「意地悪ね」


 十月は、よっぽどのことをしない限り汗はかかない。通学や散歩、緩い活動にぴったりといえる季節。


「心地良いわね、この涼しさ。秋よ」

「そですね、涼しいのは好きですよ」

「私のことも?」

「そういえば先輩――」

「私は涼音が好きよ!」

「うるさいですね」

「涼音は私のことも?」

「言わせなくてもよくないですか?」

「目に入れても痛くないのね」

「はあ?」


 涼しさのおかげか会話も捗るのだった。

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