文化祭にて 84
(やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼ 若菜との似顔絵よ‼ これは一生物の宝物‼ 紫外線対策もできる額に入れて早速飾るわ‼)
「ありがとうね、私にくれて」
「いいよ。私は恥ずかしいから」
絵画部で似顔絵を描いてもらった若菜と紗里。
描いてもらった絵は一枚のため、家に飾るのは恥ずかしい若菜が紗里に譲ったのだ。
(恥ずかしいなんて、若菜はこんなにも可愛いのに。ちょっと待って……? 飾るのが恥ずかしいということは、見るのが嫌ということよ。つまり、私の家に来たくないということに……⁉)
恐ろしいことに気づいてしまった紗里は、震えそうになる手を必死に抑える。顔色も変わらないように頑張る。
この恐ろしい考えが実現するのかどうか、若菜に直接聞いた方がいいのだろうか? 紗里は想像する。
いつも通り家にやって来た若菜。額に入れられている絵を見て、顔を引きつらせる。その日はどことなくぎこちない会話になり、それ以降、家に誘うと、目を逸らして断られるのだ。
「紗里ちゃん⁉ なんで泣いてるの⁉」
――肩に衝撃。
「ごめんなさい……飾るのをやめるわ……」
「え⁉ なんで⁉」
目を白黒させるしかない若菜であった。




