文化祭にて 77
怪しい薬品部へ水筒を届けに行った、菜々美、ここね、千春、千秋、天理、彩羽の六人は、地上階へ戻ってきており、今は六人でお茶を飲んでいた。
ちなみに教室はヨーロッパ部の部室だ。
「まあ、本格的な紅茶ですね」
「ヨーロッパに関してこだわりの強い友達がやってる部活なもんで」
「え? ヨーロッパ部……?」
「わっ、私はここねこ入れた紅茶の方が好きよ!」
「えへへ〜、ありがとう」
「あなた、なにを勝手に争っているのよ」
六人もいれば、少し話しただけですぐに騒がしくなる。でも誰も咎めない、賑やかで楽しいからだ。
「そういえば――」
そして話が一段落した時、千秋がここねに向けて口を開いた。
「クッキー、美味しかったわ」
「うん! あれ? 千秋ちゃんに売ったっけ?」
「いや、涼音ちゃんからお礼として貰ったんだぜ。美味しかった」
「ああ、そうなんだ。良かったぁ、美味しいって言ってもらえて」
「私達も食べました。とっても美味しかったですよ、ね? 彩羽さん?」
「うん、めちゃくちゃ美味しかった。金取れるよ」
「そうなんです、ここねのクッキーは世界経済を牛耳れるぐらい美味しいんです!」
褒められていちばん嬉しそうなのは菜々美であった。
「相変わらずの甘々カップルね。砂糖入れてないのに紅茶が甘いわ」
ずずっと紅茶を飲みながら、ジトっとした目を向ける千秋。そんな千秋に、彩羽がしみじみと言う。
「色んなカップルがあるねー」
「人目も憚らずイチャイチャするのはどうかと思いますけどね。オチは爆発ですし」
呆れたように言った千秋に、どこか誇らしげな菜々美である。でもよく見ると耳が真っ赤だった。




