文化祭にて 70
「一人にして大丈夫なんでしょうか?」
外に出た四人は、怪しい薬品部の前で立っていた。天理が神鳴は大丈夫かと、中を気にしていたが、今は放っておくほうがいいとここねと菜々美が止める。
「ところで、千春と千秋は?」
そして一段落した後、菜々美が二人の姿が無いことに気づいた。地下校舎に来るまでは一緒だった気がするが、いつの間にかいなくなっていた。
「散歩をすると言って、地下校舎に来た直後別れましたよ」
「すぐ戻るって言ってたけど」
「そう、すぐに戻ってきたぜ」
「まあ、おかえりなさい」
「ちーちゃん、この人眩しすぎる……!」
すると自然な流れで千春と千秋が戻ってきた。まるで最初からいるかのように、滑らかに会話をしている。
「解るよ。わたしでも天理さんのこと直視できない時あるもん……」
目を細める千秋に彩羽が返した。
「――語らねばなるまい」
それからしばらく話していると、突如千春が言い出した。
その言葉はそれっぽく厳かに言われたため、とりあえず千春以外の五人は口を閉ざした。
真面目な話なのか、ふざけた話なのか、そもそもなにを語るんだよと、少なからずそのようなことを考えるここねと菜々美と千秋。
「なにか面白い話が聞けそうですね!」
「なーんでこの人はこんなに楽しそうなんだろ」
唯一、天理だけは興味津々だった。それが千春にとっての救いになる。やはり顔だ、顔が全て解決する。
「この日本にいる、吸血鬼について「お待たせしました!」この話は終わりだな」
千春が語り始めると同時に、ドアが開いて神鳴が姿を現した。




