文化祭にて 68
「それで他は?」
「文化祭楽しんでるよ」
それで一人だしダラダラしてた――と、絵画部の柴田善実が説明する。
その説明に納得したように頷いた涼香は、一度部屋の中を見回して考えている様子だった。
「どうしたんですか?」
涼音がそんな涼香に聞くと、涼香は慎重に口を開いた。
「なんとなく……よ」
「「えぇ……」」
「とりあえず、涼音の似顔絵を描いてもらおうではないの」
「だから嫌ですって」
「二人は? 二人の方が良さが出るだろうし」
善実の提案に、涼香と涼音は互いに目を合わせて考える。
「照れるわね」
「なんなんですか」
涼音だけが考えていた。
一応、壁には絵画部の描いた絵が飾られている。どれもやはり上手くて見るだけでも楽しめるが、せっかくの文化祭なのだし、こうして絵を見る以外にも色々としたいのだ。
「……………………そこまでデカくなくて、貰えるのなら、飾られるのは、恥ずかしいんで」
「見なさい! 可愛いでしょ!」
「めっっっっっっちゃ、可愛い……!」
「なんなんですか」
「大丈夫、似顔絵はそんなにデカい紙に描かないし、プレゼントするから。あくまで思い出作りのために描いてるから!」
善実の言葉に安心した涼音に、そんな涼音を抱きしめる涼香である。
「それなら……先輩と一緒で、お願い……します」
「「可愛い‼」」




