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文化祭にて 66
トラブルに巻き込まれたり、首を突っ込むことも無く、絵画部へとやってくることができた涼香と涼音。
「さてさて、涼音を描いてもらおうではないの」
「嫌ですって」
ドアを開けようとして、涼音の返事にそのままの体勢で固まる涼香。そして、恐ろしいものを見たような表情を浮かべる。
「絵画部へ行く意味が無いではないの……⁉」
「え、ありますよ。展示見たり……とか?」
展示もあるだろうが、どちらかというと似顔絵を描いてもらうのがメインだろう。それを嫌だと言うのなら、涼香の言う通り絵画部に行く意義は薄い。
「似顔絵を描いてもらうのは文化祭っぽいではないの」
「いやまあ、そうなんですけど……他の探しません?」
「お姉ちゃん悲しいわ……」
「誰ですかそれ」
そんな会話をしていると――。
「いいから入れっっっっって‼」
いきなり絵画部の部室のドアが開いた。




