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文化祭にて 65
菜々美達と別れ、涼香と涼音は絵画部を目指す。
「なんか疲れました」
「お姉ちゃんがおんぶしてあげるわ」
「誰がお姉ちゃんですか」
「あら、おんぶはしてもいいのね?」
「嫌でーす」
ぷいっと顔を背ける涼音。その仕草は可愛いの塊だった。とりあえず涼香はそんな涼音の写真を撮り、満足そうに鼻から息を吐く。
「てか絵画部でなんの絵を描いてもらうんですか? あたしの絵は嫌ですよ」
「説明によると、部員の絵の展示と、似顔絵を描いてくれるらしいわ」
涼音は先手を打ったのだが、涼香には効かなかった。
「ということで、涼音の似顔絵を描いてもらうわ!」
「だがら、あたしは嫌だって言ってますよね」
「私が欲しいのよ」
「なんなんですか」
「私よ」
訳の分からないことを言う涼香に、心底面倒そうな顔を向ける涼音であった。




