文化祭にて 62
「――私が来たぜ」
「「あなた、どこにでも現れるわね……」」
収拾がつかない三組の中、やはり現れた暇人の千春。
「文化祭テンションなのよ、許してあげなさい」
呆れた声を出す涼香と菜々美にそう言うのは千秋だ。
「なんか人増えましたね」
「だねー」
涼音の言葉にここねが反応して――。
「ふふっ、賑やかですね」
「そうだね」
その様子を見ていた天理と彩羽が笑う。
闖入者のおかげで少し落ち着きを取り戻した渡り廊下である。
「ここじゃアレだし、移動しようじゃあないか。先輩達もどうぞ、お茶を入れますよ」
「なんでそんなキザな言い方なの?」「でも私達神鳴のお使いがあるのよね」「涼音は今日も可愛いわ」「先輩だけマジで関係無いこと言ってますよ?」「彩羽さん、お茶を入れてくれるみたいですよ」
「おいおいおい、一気に喋りすぎじゃあないか」
「――私も交ぜてほしいわね」
頬に冷たい汗を流す千春に、救いの声が――というか、場合によっては再びこの場が散らかりだす声が聞こえた。
「あら、委員長ではないの」
「まあ、宮木さん。お久しぶりです」
「こんにちは。お久しぶりです、篠原先輩」
「うひゃあ、美人がいっぱいっすね〜」
現れたのは紗里と翔だった。
「おおっと、これはこれは、処理しきれる気がしないぜ」
紗里の動き次第でこの場が上手く収まるか荒れるかが決まる。普段なら安心して任せられたが、今は文化祭中だ。紗里も文化祭テンションなら、上手くいかない。
渡り廊下に五組――十人の人間が集まる。そしてその中の数名のせいでギャラリーは増えに増え、とりあえず凄いことになっていた。




