文化祭にて 58
怪しい薬品の材料は、学校なら容易く手に入るものらしく、神鳴の代わりに菜々美とここねは取って来てあげることにした。
「――それで、その仕掛けっていうのは見ればすぐ分かるのね?」
「分かるから……早く……お願いします……!」
「急ごっか」
「……、そうね」
なんで文化祭なのにこんなお使いをしなくてはならないのかと、思う所もあるが、こうなった原因の半分は自分達にあるため探しに行くことにした。
さっさと取ってさっさとここねと文化祭を回る。
「わっ、菜々美ちゃん、やる気だね」
「早く終わらせたいからよ‼」
そう力強く言い放った菜々美の言葉は、地下校舎に響き渡るのだった。
――一方その頃。
「なかなかの見ごたえだったわ」
「アクション凄かったですねー」
涼香と涼音は要人の如く護られながら体育館から出てきた。
観劇を終え、次は軽音部の演奏ということで、更に盛り上がったタイミングで出たのだ。ということで、すれ違う生徒の方が多く、出るのにも苦労する状態だった。
「今がチャンスではないの!」
そんな人の少し減った校内を見て涼香が喜ぶ。
「ずっとこんな感じで人が少なかったらいいのに……」
ひどく疲れた様子の涼音が呟く。
少し体育館から離れ、二人きりになったタイミングで涼香は涼音の頭を撫でるのだった。




