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文化祭にて 52
地上とは違い、自然光など一切入ってこない地下校舎。蛍光灯の無機質な光が廊下を照らす。そんな窓は無く、圧迫感を覚える廊下を歩く。
「ここにいたら正気を失いそうだわ」
「怖さはあるよねー」
ちなみに涼音は地下校舎に行きたがらない。
窓の無い圧迫された空間が好きだという生徒もいれば、ここにいたくないという生徒もいる。
そして当然、地下校舎で活動する生徒は、この場の居心地が良いと考える生徒しかいない。
何人かの生徒とすれ違いながら、菜々美とここねは適当な教室に入る。
窓には『怪しい薬品部』と書かれていた。
「ああああうあああうああぅぅぅぅぁああああああ……‼」
「急になによびっくりしたわね!」
入った瞬間奇妙な呻き声のような叫び声が聞こえ、菜々美はここねを護るように立つ。
「菜々美ちゃん……⁉」
そんな菜々美にときめくここねである。
そして声の主は、カサカサカサと教室の隅へと移動した。
「眩しい眩しい眩しいよぉぉぉ!」
「えぇ……」




