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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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文化祭にて 51

 ようやく一緒になれた、最後の文化祭。これからも共に時間を過ごせるが、文化祭というイベントは最後だ。


「ここね、二人で思い出を作りましょう」

「うん!」

「文化祭の思い出――それは高校生生活最後の煌びやかな行事。あとはなにかあったかしら? なにかとんでもない行事を忘れているような気もするけど、とりあえず最後よ」

「うん!」

「だからね、ここね。……地上に出ましょう?」

「やだ!」

「なんでよぉ‼」


 菜々美(ななみ)とここねは、学校の地下へ来ていた。


 この学校に地下なんてあったのか? という質問には、あったのだと答えるしかできない程の規模だ。


「せっかく最後の文化祭なのよ⁉」

「こっちも文化祭だよ?」

「そうだけど、特殊じゃないの……」

「えへへ」

「うぅ……可愛いわ……」


 地下の構造は、校舎そのまんまである。地下一階という表現が合う。しかしそう表記されていないのは、この地下を恐らく学校側は把握していないからである。


 ――裏文化祭。それがこの地下での文化祭の名だ。


 普段は数多いよく分からない部活が使用している秘密の地下校舎、部活が使用しているため、当然文化祭もなにか催し物をしている――と言いたいが、場所が場所のため、学校側が認識していない部活が勝手にやっているのだ。


 部費も貰えないし、顧問もいない。申請の末『却下』の二文字を貰った部活の溜まり場。


「あっ、ちゃんと後で上に戻るからね!」

「それならいいわ! 楽しみましょう!」

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