文化祭にて 48
「涼音、行くわよ」
「……はーい」
喉を潤し、いよいよ他学年の催し物を覗きに行こうということで、涼音は涼香の隣を歩く。
そして――隣の教室、涼香のクラスへ入る。
「来たわよ!」
「他にも人いますから」
大使館では、文化祭の情報を提供している。どの学年の、どのクラスがなにをしているか、各部活はなにをしてるか――などだ。
「らっしゃーせー」
迎える言葉はそれでいいのか、特殊な来館者ということで若菜が対応する。涼香が来たことにより、人が増え、にわかに忙しくなる。
「さて、教えてもらおうではないの」
「先輩、主語」
しかし、流石は若菜である。それっぽい雰囲気で、涼香がなにを求めているのか察して資料を出す。
「涼音ちゃんと二人で楽しみたいなら、ここだね」
パンフレットを置き、指差した場所は――絵画部。
「絵画部なら、対応もできると思うし良いと思う。あとは……外でしてるチュロスとかの食べ物系。体育館で演劇部とか軽音部とかダンス部、その他有志が色々やってるから見るのもあり。見るだけ」
「なるほど……、涼音は可愛いということね」
「なんかバカになってない?」
「文化祭テンションですよ……」
自分も人のことを言えないはずだが、涼音は呆れたように肩をすくめる。
とはいえ、貴重な情報を手に入れた。とりあえずパンフレットを受け取り、大使館を後にするのだった。




