文化祭にて 46
「喉乾きましたね」
ぜんざいの汁を飲めば、甘さで喉が潤うどころか乾いてしまう。
「ジュースは三階よ」
「えぇ……」
遠いなー、なんて思いながら、でも行くしかない。結局三年生がやっている模擬店しか行っていない。
「とりあえず行きますか」
「そうね、面白そうな物が無いか探しながら行きましょうか」
涼香と涼音はその場を後にして三階を目指す。
特になにも起きること無く、涼香の隣のクラスにやって来た。
ダンボールで作られた自動販売機を見て、涼音は驚いたような、呆れたような、なんとも言えない表情を浮かべる。
「涼音、ここは私の奢りよ」
指に挟んだ金券をぴらぴらさせながら涼香が言う。そして案の定、指先から落ちた金券である。
「じゃあ適当に買ってください」
「任せなさい!」
そして涼香が買ったジュースは青汁だった。
「いやなんで⁉」
「面白そうではないの」
ちなみに青汁は二本、涼香と涼音の二人の分だ。
ミニ缶とはいえ、青汁といえば苦い印象がある。最近は苦くない青汁もあるみたいだが、パッケージやメーカーを見る限り苦い青汁だ。
二人は同時にプルタブを開ける。
「涼音、飲むわよ」
「はい、飲むしかないですね」
そして同時に中身を飲み干し、顔を見合わせ――思いっきり顔を顰める二人であった。




