文化祭にて 42
「文化祭っぽいこと、思いつきましたけど言いたくないです。恥ずかしいんで」
「恥ずかしがる涼音も可愛いわ‼」
ツンとそっぽを向く涼音に涼香が抱きつく。
「それなら良かったわ。それで、私達にできることはある?」
ボゴンっと屋上の扉が開かれ、息を切らした翔がやって来た。
「先輩……早いっす……。やっと追いついた……」
「ああ、ごめんなさいね」
「あら、遅かったではないの」
「それっぽい雰囲気出してますけど、先輩知りませんでしたよね?」
座る涼香達三人の下へやって来て、翔もその場に腰を下ろす。
「ああ~! 疲れたー」
疲れた翔は放っておいて、話は元に戻る。
「特にしてもらうことは無いかと思います。もう大丈夫です」
覚悟に満ちた涼音の瞳を見て、嬉しそうに笑った紗里は、涼音の肩に手を置き真剣な眼差しを向ける。
「そう。でも安心して、何一つ、変わらないわ」
そう言う紗里に、涼音は不敵に笑う。
「当り前じゃないですか‼」
「ええ、そうよ。当たり前なのよ‼」
「ちょっと先輩黙っててください」
髪の毛を払う涼香であった。




