文化祭にて 38
時は少し遡り――。
「十ポイント菜々美発見」
「歩く磁石菜々美発見」
「ある意味お掃除ロボット菜々美発見」
「だいたい被害を被ってくれる菜々美発見」
「昨日十円玉を自動販売機の下に落として必死に手を伸ばしていた菜々美発見」
「ここねちゃんの頭を唯一撫でられる菜々美発見」
「「「「「「――羨ましい‼」」」」」」
「散!」
ここねの代わりに爆発した菜々美の事後処理をしようと、六人の生徒が集まったが、やっぱり解散する。
こちとら常日頃からここねの頭を撫でたいと思っているのだ。
そうして教室から外へ出ようとすると――。
『涼音! 避難するわよ』
『ああもう! 危ないんで先輩は離れないでください!』
そんな声がしたかと思った後、黄色い歓声が聞こえる。出ようにも出られない状況だった。
感情のピークは六秒という。それが本当かどうかは分からないが、レースゲームでスタートダッシュに失敗すれば萎えてしまうのと似たようなもので、六人の怒りも萎えてしまった。
「……とりあえず、助けますか」
一人の言葉に五人は頷き、いつも通り爆発後の菜々美の処理を始めるのだった。




