文化祭にて 34
各学年に一人の超絶美人がどこにいるのか、それは単純で、人がやたらと集まっている場所にいる。
例に漏れず、占い部周りは大変盛況、やっている占いが占いなのに、美人の力は恐ろしい。
「「想像以上だね」」
占い部の春と秋は、やっとできた占い部の後輩、大空日花と月花を見る。
日花と月花は、自分目当ての客に双子占いをしている。双子占いとは、春と秋が考案した、どっちが春と秋かを当てる占いである。当てればその日は幸運に過ごせ、外れれば不幸が訪れる。ちなみに涼香は毎日当てているし、菜々美はしょっちゅう外している。
「「どっちが日花でどっちが月花でしょーか!」」
((呼吸がブレだしている、疲労の蓄積か……))
春と秋は日花と月花の状態を冷静に分析する。本当は、双子占い以外にも占いをやる予定だった。ただ、想像以上に人が来たため、本日――というか日花と月花がいる間は双子占いに絞っている。
ただこの集団のいい所は、占いをするという性質上、終わればその場からいなくなることだ。だからこのまま頑張れば日花と月花の休憩する時間が取れるであろう。
そして――一時間近くぶっ通しでの双子占いの末、ようやく日花と月花目的の客を捌くことができた。今のうちに裏方に隠して、休憩させなければならない。
「助けてよ……」
「もう駄目だ……」
二人は床に手をつきながら息を切らしている。
「「お疲れ様、二人とも。こっちで休も――」」
「来たわよ!」「人やばいですって!」
春と秋が二人を労おうとした時、涼香と涼音が教室に飛び込んできた。
涼香と涼音は、パーテーションで仕切られた占い部の中に隠れる。嫌な予感がして、春と秋が廊下を見る。
「「あー……、うわあー……」」
すると日花と月花も廊下を見る。
「やれる? 月花」
「眩暈がしてきた……」
「だよね」
百人はいるだろうか? 数えるのも嫌になる。
間違いなく涼香を追ってきたのだろうその集団。ということで春と秋は、日花と月花を教室の中に連れ込む。そして教室のドアに『CLOSE』という看板をかけて閉める。おまけに鍵も閉める。
「「休めばいいさ☆」」
そう言って日花と月花にサムズアップする春と秋であった。




