彩られた天の下で 3
「お待たせー」
キキっと自転車のブレーキ音が響き、黒髪で、羽のようにぴょっこりと両サイドに髪の毛が跳ねている女性が現れた。
「お久しぶりです」「こんばんはぁ」
菜々美とここねに挨拶を返しながら、自転車を停めた尾鳥彩羽は天理を見る。
「ふふっ、お疲れ様です」
「お疲れ様」
その甘い空気の漂うやり取りを見ながら、よく爆発しないなと菜々美は関心して、それに負けじと甘い空気を醸し出そうとするここねから逃れる。
「菜々美ちゃんなんで逃げるの?」
そんなここねの圧を心の中で血涙を流しながら避け、菜々美は早速本題に入ろうとコホンと軽く咳をする。
「あの、お二人にお願いがあって今日は呼び出したんです」
「お願い……ですか?」
「なーんかこう集められると変なことお願いされそうなんだけど」
「いやまあ変なことというか面倒事というかなんというかまあはいそうですね変ですよね」
「菜々美ちゃんが一番変になってるよ」
「ここね⁉」
恐ろしいものを見たような表情をする菜々美である。
「前払いということで、ご飯でも食べに行きましょう」
柔く微笑んだここね。しかしその口から出た言葉に、嫌な予感を覚えつつ、しかし可愛い後輩の頼みならと一も二もなく頷く天理と彩羽である。




