彩られた天の下で 2
それから十数分待っていると、店内の喧騒は過ぎ去り静寂が訪れた。
それと同時にバックヤードに先程レジ対応をしていた女性が入ってきた。
「お疲れ様です」
やはり髪色は金に見える。実際の色は分からない。しかし、その髪色よりも人の目を引くのは、その女性の美しさだろう。
分かりやすく言えば、その美しさは涼香にも並びかける程だ。
「まあ! ここちゃんじゃないですか!」
ここねのその呼ばれ方を菜々美は未だに聞きなれない。
「久しぶり!」
この女性は篠原天理――大学三年生のここねの幼馴染だ。
「お疲れ様です」
ちなみに、菜々美にこの雑貨屋のアルバイトを紹介したのはここねだ。
「二人共お待たせしてすみません。店長、レジ閉めも終わたので――」
「うん。帰っていいよ、今日もありがとう、お疲れ様」
「はい! では、行きましょうか。彩羽さんもそろそろ着く頃だと思うので」
天理の言葉に、菜々美とここねは挨拶をして店を出る。
さっきまでの賑わいが嘘のように静まり返った店内を通って店を出る。
九月末にもなれば、十九時でももう日は沈んでいる。控えめな星空の下、涼しくなった夜の空気を肺一杯に吸い込む。
「ふう……今日も疲れましたね」
「天理さんが入るとお客さんすっごいですからね」
「でも一人で働くことになって寂しいんですよ?」
そんな話をして笑い合っていると「おーい」と呼ぶ声が聞こえた。
「彩羽さん!」
煌めく星々よりも綺麗な笑顔を浮かべた天理が声の方を向いて大きく手を振る。




