休み時間にて 13
ここねが明里に呼ばれたのはさっきのこと。
その時、ここねは菜々美と話していたのだが、その菜々美との会話を中断してまで明里の下まで行ったのには理由がある――訳ではなかった。
ただ単に、明里に呼ばれるなんて珍しかったからだ。
「ごめんねー、ここねちゃん」
そう言われ、教室を出たところで世間話に興じる。
「どうしたの? 明里ちゃんがわたしに用があるのは珍しいよね?」
「そうなんだあ、ここねちゃんにはお話しやすそうだったからー」
その話とはいったいなんなんだろうかと、ここねは首を傾げる。サイドテールがぴょこっと揺れる。
「相談があってねー、うーん……緊張するなあ」
「相談?」
「そー、相談ー」
口調こそはいつもののほほんとした明里だが、表情はどこか緊張しているように見える。
あのいつも余裕をもってそうな明里ちゃんがこんなに緊張するなんて、とここねは意外に思いながら真剣に話を聞く体勢を取る。
それでも、傍から見ればのほほんと世間話をしているように見えるだろう。
「実はー――」




