休み時間にて 12
ある日のこと。
なんとなく教室の外に出た涼香は、そこで見た光景に興味を惹かれた。
ぴょこぴょこ動いているのはここねと、もう一人は糸目の生徒だ。ぴょこぴょこの涼音に対して、その生徒はのほほんとしている。
なにかの会話をしているのだろう。二人の間に流れる穏やかな空気感がただの世間話なのだと感じさせる。
その会話なら、別に入り込む必要は無い。涼香はただ、組み合わせが珍しく興味を惹かれただけなのだ。
そう思って顔の向きを変えた涼香の目に入ったのは菜々美だった。
「ここねは取り込み中みたいよ」
「分かってるわ。でも明里となにを話しているのかしら……気になるわ」
「ただの世間話よ」
「それはどうかしら」
途端に決闘者の表情になった菜々美が言う。
「参加すればいいではないの」
「私は置いていかれたのよ。最初はここねと私が話していたの。でもそこに明里が来て、ここねを呼び出した。そしたらここねはついて行ってしまったということよ。可愛かったわ、その時のここね」
「なるほど、それなら気になるわね。ただの世間話でも、菜々美を仲間はずれにするということは、菜々美には聞かせられない話をしているということ。そういうことでしょ?」
事情が解った涼香は、菜々美と頷き合う。
そして二人してここねと明里の会話を観察するのだった。




