表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

739/930

お菓子パーティーにて 13

 そう言われ、実祈(みき)お手製のチャーシューを食べた四人。


 チャーシューは冗談抜きで美味しかった。それはもうチャーシュー店としてやっていけるレベル。


 そう褒められた実祈は照れくさそうにしながら夢を語る。将来はチャーシュー店を作るんだと。


 それを四人は心から応援して、教室から出ていこうとする。


「……なんか忘れてません?」


 涼香(りょうか)がドアに手をかけた時、涼音(すずね)が待ったをかける。


「涼音は今日の夕食を食べられない程食べてしまった?」

「いや、違います。なんでこうなったんだっけ……」

「チャーシュー美味しくて忘れたね」

「まあ戻りながら考えようじゃあないか」


 若菜(わかな)千春(ちはる)もなにかが引っかかっている様子だが、それがなんなのか思い出せない。


 チャーシューの美味さが全てを吹き飛ばしてしまったからだ。


「そうね、戻りましょうか」


 とりあえず、涼香がドアを開ける。


「ありがとうごさいやした――って行かないの?」


 ドアの動きと連動しているのだろうかというタイミングで実祈の声を背中で受けたが、四人は出ていかず、なんなら開いたドアを千春が即座に閉じた。


「痛いではないの……」


 そんな閉じられたドアに激突した涼香が不満気な顔で千春を睨む。


「「「思い出した!」」」


 同時に手を打った三人は、涼香を連れてカウンター席へと戻ってくる。


「え、どうしたの……?」


 目を見開いた実祈を正面に捉え、三人は順番に言い出す。


「外に」

「一、二年生が」

「いっぱいです」


 その言葉に、実祈は心当たりがあるらしく、目を泳がせながら言う。


「……あー、アレよ、アレ。なんか悲鳴聞こえたから」

「だよね、思いだした。アレって結局なんだったの?」

「私が来た時は人が集まってただけだったしなあ……」

「実祈、チャーシューを食べたいわ」

「かしこまりやしたぁ‼」


 澱みない手つきでチャーシューを皿に盛り、涼香に出す。


「涼音、あーん」

「美味しいですけど流石にそんなに食べれないですよ」

「残念。なら私が食べるわ」


 そんなやり取りを始めた涼香と涼音を放って、悲鳴の原因はなんだったのか考えようとしたが、チャーシューがあまりにも美味しそうで、考えるをやめにした二人。


「チャーシュー二人分ください」

「あいよ‼」


 とりあえず、人が少なくなるまでチャーシュー部で時間を潰そうと決めた四人であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ