お菓子パーティーにて 10
「痛いではないの……」
「すいません……つい……」
千春を先頭に、涼香と涼音、若菜が廊下を歩く。
今向かっているのは、千春が見つけたとある場所。話によれば、恐らくそこが今回異界に迷い込んでしまう原因になったのであろう場所らしい。
そうして四人がやってきたのは最初に金切り声を聞いた場所――二階の特別棟、奥から三番目の部屋だ。
「なんの教室だろ」
本来なら、なんの用途の教室なのか名前が書いてあるはずなのだが、それ文字化けを起こしたように読めなくなっている。
「チャーシュー研究部ではないの?」
「あとはラーメン研究部と麻婆豆腐部もあるね」
教室の名前とは別に、ドアの窓部分に貼られている、その教室を部室として使っている部の名前を書いた紙を見ると、読めそうで読めない文字で書かれており、涼音と若菜は少し頭がクラクラしてきた。
「とりあえず入りましょうか。千春」
当然のように先陣を切らされる千春。本人は気にした様子もなさそうに素直にドアを開く。
――そして四人が教室に入ると景色が一変した。




