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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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お菓子パーティーにて 7

「……誰も……いなかった……」


 教室に戻ってきた千春(ちはる)が言った。


「あら、おかしいわね」

涼香(りょうか)の聞き間違いってことは?」

「周辺回ったけど、誰もいなかったよ」


 涼香と若菜(わかな)は会話に加わっているが、涼音(すずね)だけは耳を塞いで縮こまっていた。


 一応、涼香の耳の正確さはさっきの一件で証明されている。たまたま勘が当たっただけかもしれないが、声は確かに全員聞いている。場所は違えどなにかが起きたということだ。


 そして今回は、一回目と違いかなり近くで聞こえた。だから涼香が言った二階と三階の踊り場にいなくても、その付近にはなにかしら起きているはずなのだ。


「空耳かしら?」

「だといいんだけど」

「そんなにはっきり聞こえるもん?」

「「「うーん……」」」


 三人は腕を組んで悩む。


 途中涼香は涼音をなでなで。


「涼音がここまで怖がっているのよ。空耳じゃないような気がするわ。千春、文化祭でお化け屋敷をするクラスは分かる?」

「もう生徒会長じゃないからなあ……」

「使えねえ……」

「おいおいおい、それは失礼なんじゃあないか」

「片っ端から探してきなさい」

「仕方ねえ、私が使える人間だってとこ、見せてやるよ」


 そう言って勢い良く立ち上がった千春。ステップというか、やたらと無駄な動きをしながら教室から出ていく。


「……これが確かなら、今月二回目よ」

「また陰陽部?」

「さあ?」

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