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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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お菓子パーティーにて 4

 そして、指でパチンと鳴らして千春(ちはる)は言う。


「買ってくる!」


 時間は巻き戻すことはできない。しかし、新しいお菓子を買えば元通りになる。天才的発想だ。


「いやいいよ。購買に売ってるの高いし」


 購買に売っているお菓子は外に比べて割高だ。一つや二つならまだしも、六つもお菓子を買うのなら、出費は膨らむ。


「おいおいおい、甘いな若菜(わかな)さんよ」

「まさか千春……そういうことなの……⁉」

「どういうことですか?」

「知らないわ」

「えぇ……」


 そしてそんな千春の言葉になんとなく乗ってみた涼香(りょうか)である。


「今は放課後だ。だったら、コンビニに行って買えばいいじゃあないか」


 昼間ならまだしも、放課後は外に出てはいけないという制約は無い。わざわざ割高の購買で買うより、コンビニで買った方が安い。


「コンビニですか……」


 それを聞いて、なにか言いたそうな涼音(すずね)


 そんな涼音に、どしたの? と若菜が聞く。


「いや、コンビニ行くの暑くないかな――と」


 学校の近くにコンビニがあるといっても、学校のすぐそこにある訳ではない。少し歩かなければならない距離で、この暑さだと汗をかいてしまうはずだ。


「えっ……涼音ちゃん優しい……」


 そんな涼音の優しさに感動していた千春に、涼香と若菜は容赦無い。


「いいのよ涼音。汗をかくのは千春だけなんだし」

「そうそう。禊だよ、禊」

「確かにそうですね。じゃあ買ってきてください」

「おいおいおい、急に梯子を外すんじゃあない」


 そう言いつつ、流れる涙を拭いながら立ち上がる千春であった。

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