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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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お菓子パーティーにて 3

「どーすんのこれ」


 文句を言いつつ塩味のついたチョコ菓子を食べる若菜(わかな)。これはこれでまた美味しかった。


「粉々で食べにくいではないの」


 粉々だからか、取っては食べ取っては食べの涼香(りょうか)と――。


「どれがどれか分かりませんねー」


 特に気にせずお菓子を食べている涼音(すずね)である。


「やっちまったもんは仕方がねえよな」


 そして千春(ちはる)はすっかり調子を取り戻している。


 とはいえ、お菓子パーティーとは思えない重たい空気。四人は無言でお菓子を食べる。パーティーではなく、もはや処理に近い。


「どーすんのこの空気」

「食べにくいではないの」

「先輩食べることしか考えて無いですよね」

「涼音のことしか考えていないわ‼」


 そんないつもの掛け合いもどこか浮いている。この空気にした千春はどうにかして責任を取らねばならないと、常日頃暇で、全く働かしていない頭を働かせる。


 しかし常日頃から働かせていない頭を働かすにはエネルギーが足りず、千春はこの中で一番早く、多くお菓子を食べ始める。


「どーしたの急に」

「私も負けてられないわね――ゴフっゲホっ」

「ああもう、言わんこっちゃない」


 残ったお菓子が減っていく減っていく、呆気にとられる若菜、そして咽る涼香にそれを介抱する涼音である。


 お菓子を全て食べたことにより、エネルギー補給を完了した千春。ようやくここで頭が働いてきた。全てのエネルギーを使って千春は考える。


「待って待って、いい案浮かぶから。この空気、私がどうにかして見せるぜ……!」


 口元を拭う仕草を見せる千春であった。

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