自動販売機前にて 番外編 2
ある日のこと。彩は食堂にある自動販売機まで来ていた。
「あんたらなにやってんの?」
そこで彩は、倒れる菜々美と、それを介抱しているここねに会った。
「あなたは……綾瀬……彩……」
「彩ちゃん」
「……マジでなにやってんの?」
息も絶え絶えの菜々美をよく見ると口から赤い液体を流している。しかし彩はそれを血だと早合点せず、冷静に見極める。
この学校の自動販売機のラインナップにここねが飲んでいる缶ジュース。
――『旨味凝縮! キムチジュース』
そう書かれている缶ジュースを持っていた。
「なんでそんなジュースがあるんだか……。保健室連れて行けば?」
彩はオレンジジュースを買いながらここねに言う。血は吐いていないが倒れているのなら保健室で休ませてもらった方がいい。
「ううん。眠った菜々美ちゃんを起こすのには、保健室じゃなくてキスが必要なんだよ」
「ここねだめっ、人が見ているわ!」
「起きてるじゃねえか」
「見ててね彩ちゃん」
「芹澤、あんたって結構ヤバイよな」
「えへへ」
「褒めてないんだけど……」
「あっああああ……」
「見ててね」
「あああああああああああっ」
ここねが顔を真っ赤にしている菜々美に口づけをしようと顔を近づける。
彩はその場から離れる。
離れると、案の定菜々美は爆発してしまう。
「きゃー」
爆風に乗って、隠れてやり過ごした彩の下へやってきたここねは笑顔で言う。
「わたし菜々美ちゃんのこと大好きなんだあ」
「なら爆発させるなよ」




