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自動販売機前にて
ある日のこと。
涼音は一人食堂にある自動販売機まで来ていた。基本的に水かお茶を飲むが、たまにはジュースも飲みたいのだ。
(どれにしよう……)
誰もいない自動販売機の前でしばし悩む。
ジュースを飲みたいと思ったが、なにを飲みたいかは決めておらず、でも実際見るとあまりの種類の多さに悩んでしまった。
(……ランダムボタンとかないの?)
それなら悩まず買うことができる。一度そういうボタンを作ってみれば売れるだろうに、と思いながら、涼音は小銭を自動販売機に入れる。
(なんかなあ……)
とりあえずジュースを買う自動販売機は選んだ。あとはなんのジュースを選ぶかだ。
とあるジュースを見つけた涼音は、そのジュースに目を釘付けにされた。
(確か先輩が買ってたよね)
そのジュースを買い、顔をしかめる。
(でもこのジュース酸っぱいんだよなあ……)
涼香がよく飲むジュースを見て、少し後悔しながら涼音はそれを飲む。
「ちゅっぱい……」




