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休み時間にて 11
「いったいあと何日、この暑さに耐えなくてはならないのかしら……」
涼香が珍しくスマホで天気予報を見ていた。それも気象庁で今後二週間の気温予報をだ。
「わたしも、暑いの苦手だから早く涼しくなってほしいんだけどねえ」
隣の席のここねが涼香に返す。
「そうなのよ。この前涼音とお出かけしたんだけど、暑くて探検できなかったのよ」
「そうなんだ……」
ちなみにここねは電車に乗ることはほとんど無く、暑い夏は家から出ないか、菜々美が運転する車に乗って出かけている。
「わたし電車あまり乗らないからなあ……」
「私も車の免許証取りに行こうかしら」
「それはダメだよ!」
「なら菜々美を足にしようかしら」
「それなら――」
そう言いかけた時、菜々美が勢い良く涼香達のクラスに飛び込んできた。
「売らないで!」
そんな菜々美を見たここねが、涼香に微笑みを向けて言う。
「足にしていいって」
「ここね……⁉」
恐ろしいものを見たような表情を浮かべる菜々美であった。




