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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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722/931

休み時間にて 11

「いったいあと何日、この暑さに耐えなくてはならないのかしら……」


 涼香(りょうか)が珍しくスマホで天気予報を見ていた。それも気象庁で今後二週間の気温予報をだ。


「わたしも、暑いの苦手だから早く涼しくなってほしいんだけどねえ」


 隣の席のここねが涼香に返す。


「そうなのよ。この前涼音(すずね)とお出かけしたんだけど、暑くて探検できなかったのよ」

「そうなんだ……」


 ちなみにここねは電車に乗ることはほとんど無く、暑い夏は家から出ないか、菜々美(ななみ)が運転する車に乗って出かけている。


「わたし電車あまり乗らないからなあ……」

「私も車の免許証取りに行こうかしら」

「それはダメだよ!」

「なら菜々美を足にしようかしら」

「それなら――」


 そう言いかけた時、菜々美が勢い良く涼香達のクラスに飛び込んできた。


「売らないで!」


 そんな菜々美を見たここねが、涼香に微笑みを向けて言う。


「足にしていいって」

「ここね……⁉」


 恐ろしいものを見たような表情を浮かべる菜々美であった。

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