保健室にて 3
ある日のこと。涼香は久しぶりに保健室へ来ていた。
「久しぶりですね、先生」
「夏休みを挟んだからそうなのよ」
「つまり夏休みを除けば久しぶりではないと」
養護教諭の言葉に補足を入れる涼音である。
今回も涼香は足を捻ってしまい保健室に連行されたのだ。運ばれたのは体育の授業の終盤。だからそのまま授業が終わるまで保健室にいたのだ。
「今更なんで足捻るんですかね?」
三年生の二学期なら、同級生も涼香のやらかしにかなり慣れているはずなのに、足を捻る回数は減らない。
「いやあ、それは涼香一人で完結するからでしょ」
「あら、いたのね凛空」
涼香と同じく保健室常連客の凛空が、ベッドで体を起こしながら言う。
「凛空の名前を気安く呼ぶな。その喉笛を引きちぎってやる。許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない」
「はーいはい、ストーップ」
そしてもちろん同じ場にいる真奈である。
「ですよねえ……」
とりあえず、先程の凛空の言葉に同意した涼音は、涼香の処置を施された足首を見る。
毎度毎度足を捻るくせに大きな怪我にはなっていない。精々半日程痛むぐらい。それは涼香が無駄に頑丈なおかげだ。それでも痛みはあるため、こうして湿布を貼ってもらうなどして処置してもらっているのだ。
「どうしたの涼音? やめなさい、痛いではないの」
なんとな〜く、湿布を貼っている部分を指で突っつく涼音であった。




