お出かけにて 13
「「ただいまー」」
「お帰りなさい。待っていたわよ」
涼香と涼音を迎えたのは涼香の母である。
まるでこの時間に帰ってくるのを知っていたみたいに待ち構える姿に、涼音は思いっきり嫌な顔をする。
「予想通り?」
「予想通りよ」
「嫌だなあ……」
涼香こ母にかかれば、涼香と涼音が何時にどこへ行ってなにをして、何時に帰ってくるかなんて簡単に分かる。この未来予知に近いなにかは、他人にも通用するのだろうかとふと疑問に思いすぐに頭から消す。
「涼香だけなら読みにくいけど、涼音ちゃんがいるなら簡単よ」
「嫌だなあ!」
「なら私達がなにを食べたいのかわかっているのよね?」
「もちろんよ。涼音ちゃんにはどら焼きを用意しているわ」
「わーい」
途端に期限を治した涼音である。
「涼香にはお造りよ」
「常々食べたいとは思っているけど、おやつを食べたいのよ?」
「安心しなさい。知育菓子のお造りよ」
「それなら本物が良かったわ……」
「あなたは私の予想を超えてくから難しいのよ」
まるで涼香のように、髪を払う涼香の母であった。




