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お出かけにて 12
「さて、行くわよ!」
「はーい」
最寄り駅に着く頃には完全に起きた涼香が涼音を引っ張る。
さっきまでのやり取りが嘘みたいに元気な涼香に、元気を吸い取られた涼音。
もしかすると本当に自分の元気が涼香に吸われたのかもしれない。そんなことを考えながら駅から出る。
日傘を広げながら、涼音は涼香に近寄る。
「あら、入れてくれるの?」
「はい。先輩の分畳む気力無いです。なので持ってください」
「私自身が涼音を守る日傘になるわ!」
「そういうのいいですから。早く持って〜」
疲れと暑さでぐずりだした涼音に可愛い可愛い言いながら、涼香は日傘を受け取る。
「可愛いわね。本当に可愛いわ……」
「そうですねー」
まだまだ暑いこの季節。それでも日傘を使えばいくらかはマシになる暑さ。それでも動き続けば汗はかく。
袖で汗を拭いながら、涼香と涼音は歩き慣れた道を進むのだった。




