お出かけにて 8
「はぐれないように手を繋ぎなさい!」
「もう繋いでますよ」
地下街に入ると暑さのせいか、それとも休日だからか、かなりの人がいて、真っ直ぐ歩くこともできない。
ただブラブラ歩くだけのはずが、シューティングゲームみたいな動きをする羽目になる。
自分は華麗に避けているつもりで、実は涼音のおかげで人と当たらずに済んでいる涼香。
ゆっくり店を覗く間も無い。店に入ればある程度ゆっくりできるのだろうが、人が多すぎて入るのも大変だ。
「先輩……! ちょっと地上出ましょう!」
地下街にこだわらなくても、地上にも冷房の効いている商業施設がある。
そちらの方が人の流れが無い分いくらかマシだろうという判断だ。
「そうね、涼音が襲われてしまうわ」
「いいですから早く」
更にしっかりと手を握りしめて、涼音は涼香を引っ張り地上への階段へと向かう。
そうしてなんとか脱出した二人は、照りつける真昼の太陽から逃げるように商店街のアーケードの中に身を隠す。
「人多い……」
「とりあえず広い店に入りましょう」
地下も地上も人が溢れかえっている。そこから逃げるため、とりあえず近くの家電量販店に入るのだった。




