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お出かけにて 7
二人が昼食を摂るためにやって来たのは、おしゃれなカフェとかではなく、牛丼チェーン店だ。
安い早い美味い。そんな店を選ばない手は無い。
涼香と涼音は早速案内された席に座り牛丼を頼む。お昼のピークタイムだからか喋る間も無く牛丼がやってきた。
いただきますと二人は牛丼をかき込み、むせる涼香をよそに涼音は食べ終える。
それからしばらく待ち、涼香も食べ終え、二人は店を出た。
「早かったわね」
「お腹いっぱいですねー」
二人は一息つき、無言で見つめ合う。これからどこへ行こうかと考えているのか考えていないのか。動かなければ外にいても汗はかかないが、動けばすぐに汗をかいてしまうだろう。
ここは必然的に地下街に入るしかない。
「とりあえず、ぶらぶらしましょうか」
「そうね。ふふっ、やっぱりいいわね、こうして涼音とお出かけできるのは」
そう微笑む涼香から顔を逸らして、黙って手を引き歩き出す涼音であった。




