713/932
お出かけにて 6
再び各駅停車でガタンゴトン。涼香と涼音は無表情で窓の外の景色を眺めていた。
「結局、いつも通り市内行くんですか?」
「行くしかないのよ。今更戻れないわ」
「分からないこともないですけど……」
「それとも、日が暮れるまで電車で往復する?」
「それもいいんですけどねー」
そんな会話をしながら、どうするべきか迷っている。扉が閉まりまた進む。別に苦ではないけれど。
誰か知り合いが乗車することも無く、二人を乗せた電車は終点までやってきた。
時刻は正午、とりあえずお腹を満たしたい。
「結局来ちゃいましたね」
「そうね、とりあえずご飯にしましょうか」
結局定期券範囲外へ出てしまったが、もう暇をしない場所はここしかないため改札を出る。
人の多さに顔をしかめる涼音は、すぐに涼香に注意を向ける。
こんな人の多い場所でやらかされるとたまったものではない。それに涼香が迷ってしまわないようにする必要もある。
だから涼音は、涼香の手を握って歩くのだった。




