お出かけにて 3
「結局どこで降りるんですか?」
普段は止まらない駅で、電車の扉が閉まるのを見ていた涼音が問う。
再び動き出した電車に揺られ、次の駅へ。それを何度も繰り返している。
「そうねえ……。特に行きたい場所は無いのよ」
顎に指を当てながら涼香が答える。
お出かけするとは言ったが、どこに行こうかは決めていない。上りか下りは決めたけれど、だからといって行きたい場所が決まったということではない。
ただ、涼香は涼音と一緒に出かけたい、涼音も涼香と一緒にいたいだけだ。
だからこうして終点まで乗っておくのも別にいいのかもしれない。
ショッピングしたい訳でもないし、ウインドウショッピングならしたいけど、それなら二人でこうして電車に乗っているのとあまり変わらない。
「行きたいところある?」
「無いですね」
「私も無いわ」
「「……………………」」
「帰ります?」
「それは嫌ね」
「ですよね」
「「……………………………………」」
「降りましょう!」
「えぇ……」
そう言って、よく分からない駅で降りる涼香と涼音であった。




