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お出かけにて 2
「どっちに向かいます?」
駅までやってきた涼香と涼音。涼音は日傘を畳みながら路線図を見る。
北方面なら市内で、南方面なら他県の市内に行くことができる。
南方面はあまり行ったことが無いし、定期券範囲外だ。
持ち金の少ない、アルバイトをしていない高校生である涼香と涼音は当然北方面だろう。
「上ね」
やはり北方面を選んだ涼香である。
「了解です」
そうして二人は定期券をタッチしてホームに入る。
ホームに人の数は少なく、事前に調べたかいもありすぐに電車がやってきた。
「いいですよね。土日の電車って人いなくて」
「平日でもこの時間は少ないわよ」
「なんで知ってるんですか……?」
「適当よ」
「えぇ……」
ガタンゴトンと電車に揺られながら、二人は窓の外を眺める。
通学時間帯の人混みとは違い落ち着いた車内にアナウンスだけが響く。
今日は敢えて急行列車に乗り換えず、各駅停車で進むのだった。




