お出かけにて
全ての準備が終わると時刻は九時前。涼音は忘れ物が無いか確認して涼香の背中を押す。
「忘れ物無いですね。じゃあ行きましょう!」
「楽しみね。でもね、実はどこへ行くかは決めてないの」
早速出発だと大きな一歩を踏み出した涼音がドアに激突する。
「それは駅に向かってる途中で決めましょう……」
おでこをさすりながら答える涼音。
「そうね。どうせ市内とかそこら辺でしょうし」
「出鼻くじかないでくださいよ」
「いいから行きなさいよ」
「ほら行くわよ」
涼香の母に言われ、涼香に手を引かれた涼音である。
「行ってらっしゃい」
「「行ってきます」」
二人は仲良く家から出る。
「さて、暑いわね」
「日傘広げましょう」
そう言って涼音が日傘を広げる。折りたたみ傘タイプの日傘だ。
九月はまだまだ暑いが、朝夕なだいぶマシになっている。それに日傘を合わせれば暑さもそれ程感じない。
「涼音、入れなさい」
「自分のを広げればいいじゃないですか」
「畳めないのよ、折りたたみ傘」
「どうせあたしが畳むでしょ」
「本音を言うと涼音と相合傘をしたいのよ!」
「ダダ漏れでしたよ。でも暑いんで離れてくださーい」
「やっぱり反抗期ね」
そう言って頬を膨らませつつ、自分の日傘を広げる涼香であった。




