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お出かけ前夜にて
「明日はお出かけよ! 早く寝ましょう!」
夕食を摂り、入浴を済ませて部屋に戻ってきた涼香の乾かしたばかりの髪の毛が枕に広がる。
風呂上がりの熱からまだ逃れられない涼音が扇風機の風に当たりながら言う。
「まだ二十時ですよ」
「いいではないの。前も言ったと思うけど、眠ってしまえば時間は一瞬ですぎるのよ」
「でもその分早く目が覚め――そうですね。先輩は寝ててください」
自分なら、こんなに早く眠ってしまうとその分早く目覚めてしまうけれど、涼香ならその心配は無い。
「涼音も一緒よ!」
「あたしは無理ですって」
「楽しみで寝られないのかしら? 可愛いわね。やっぱり涼音は可愛いわ!」
タオルケットを広げ、自分を飲み込もうとする涼香から距離を取る涼音。
やっぱり距離を詰めて、涼香が転ばないようにしてあげる。
見事タオルケットに飲まれた涼音は、涼香と共にベッドに倒れる。
「暑いんですけど……」
涼音の言葉に涼香は笑うだけであった。




