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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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お出かけ前の放課後にて

涼音(すずね)、明日のお出かけのことで話があるわ」


 そう言って、放課後三年生の教室へやって来た涼音を置いて涼香(りょうか)は教室を出ていく。


「えぇ……」


 置いてかれた涼音は心底面倒そうな顔をして、涼香の後を追うのだった。



「先輩、なんですか?」


 教室をすぐ出たところにいた涼香に少し驚いた涼音は涼香に詰め寄る。


 詰め寄られた涼香は距離を取らず、逆に距離を詰めて涼音を抱きしめる。


 己の過ちを自覚した涼音は、抱きしめてくる涼香から必死に逃れようとして悪戦苦闘。


 攻防の末、敗れた涼音がその場に崩れ落ちる。


 それを満足気に見下ろしながら涼香が言い切る。


「私の勝ちよ‼」


 全くなにがしたかったのか、涼香の同級生達が呆れた顔で見ている。


「もう……なんなんですか……」


 ぼろっぼろになった涼音が涼香を見上げる。


 それに対して、髪を払った涼香は宣言する。


「今日は家に泊まりなさい!」

「なんであたしに起こしてもらう前提なんですか」

「愚問ね。それは涼音と一緒にいたいからよ!」

「はいはい、分かりました分かりました。仕方ないですね、じゃあ帰りますよ」


 涼香の顔を見ずに、埃を払い立ち上がった涼音が踵を返す。


「涼音ちゃん。まだ早いよ」


 その涼香の同級生の言葉に、近くのクラスに飛び込む涼音であった。

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