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昇降口にて

 ある日の放課後。

 

 昇降口で靴を履きかえた涼香(りょうか)は半目で正門までの道を眺めていた。

 

 天気は雨。朝の天気予報では今日は晴れのち曇り、スマホの天気予報でも現在は曇りマークになっている。それでも天気は雨だ。雲の無い空が見えているが雨だ。


 教室を出る段階では雨は降っていなかった、靴を履きかえて正門に向かおうとしたところで雨が降ってきた。濡れはしなかったが、なんだか釈然としない気持ちになる。


「あははっ、タイミング悪いですね」


 涼音(すずね)が隣で笑っていた。


「そうねえ……止むまで待とうかしら?」


 涼音の様子を窺うように涼香は言うが。


「あたし折りたたみ傘持ってきてるんで先に帰りますね」


 涼音は折りたたみ傘を取り出して帰ろうとする。


 しかし涼音が折りたたみ傘を開こうとした瞬間、涼香が手を伸ばしてそれを止める。


「待ちなさい」


「なんですか」


「私を置いて帰るの?」


 恐ろしいものを見たような表情の涼香に、涼音は心底面倒そうな表情を向ける。


「まあ、はい。……じゃあ相合傘します?」


「折りたたみ傘は小さいでしょう、それでは涼音が濡れてしまうわ」


 涼香のまともな言葉に少し固まった涼音だったが強引に口を動かす。


「わー優しい。じゃあ帰りますね」


「待ちなさい」


「なんですか」


「私を置いて帰るの」


 恐ろしいものを見たような表情の涼香に、涼音は心底面倒そうな表情を向ける。


「えー」


「止むまで待ちましょう?」


「仕方ないですねえ」


 いい笑顔を向ける涼香に涼音は頷くことにしたのだった。


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