放課後にて 21
「そういえば涼音、昨日食堂に面白い物が落ちていたのよ」
「なんですか?」
「かつお節よ。それも削る前の」
「えぇ……」
「実祈が落としたのかしら」
「いくらなんでも気づきません?」
「ちゃんと届けたわよ」
「そですか」
なんてこのと無い放課後を過ごしていた涼香と涼音。
家に帰ろうと思っていても、他学年と被ってしまうと騒ぎになるためこうして時間を潰しているのだ。今日もまだもう少し時間が経ってから帰った方がいい。
そうやって緩い時間を過ごしていた二人の前に、二人の生徒が現れた。
「あら、千春と美沙ではないの」
毎度おなじみ元生徒会長の千春と、快活な女子生徒の柊美沙だ。
突如現れた二人――主に千春に、面倒事の臭いを感じた涼音は思いっきり顔を顰める。
「これで七不思議の三つが揃ったね」
ちなみさっき教室でいた二人は帰った。薄情である。
「また面白いことをやっているわね」
「七不思議って聞こえたんですけど……」
リュックを背負って帰ろうとする涼音を押し留める三人。
「待ちなさい涼音」「大丈夫、怖くないやつだから」「即興で考えたらしいぜ」
「なんで先輩も入っているんですか⁉」
しれっと留める側に回った涼香を、恐ろしいものを見たような表情で見る涼音であった。




