昼休みにて 7
「この学校の七不思議を知っているかしら?」
「あーあーあーあーあー」
ある日の昼休み、いつも通り涼香と昼食を摂ろうと三年生の教室へとやって来た涼音は、席に着いた瞬間を涼香に狙い撃ちされていた。
心霊とかそういうのが苦手な涼音は、すぐさま耳を塞いで今に至る。
「涼音、安心しなさい。私も知らないのよ」
「あーあーあーあーあー」
別に涼音を怖がらせようという意図は無い、でも反射的に耳を塞いだ涼音の耳には届かない。
どうしたものかと、とりあえず涼香は自分のお弁当のウインナーを涼音にあーんしてみた。
耳を塞ぎながらもそれを食べた涼音。その隙を見逃さず涼香が言う。
「知らないのよ。聞いてみただけよ」
今度は涼音に届いたらしく。もぐもぐしていた涼音は耳を塞いでいた手を下ろした。
「最初からそう言ってくださいよ」
「……最初から耳を塞いでいたではないの」
「それで、なんであたしに聞くんですか? 知らないに決まってるじゃないですか」
「怒った顔も可愛いわね。そうねえ……、風の噂で聞いたのよ」
「あーはいはい、分かりました分かりました、さっさと食べましょう」
これ以上この話を聞きたくない涼音は、半ば強引に話を止めた。
割と本気で嫌がっているため、涼香もこれ以上はなにも言わない。
いつも通り、緩い時間が過ぎていく。




