占い部にて 2
「「さっすが。気づいた?」」
涼香と千春の発言に、春と秋がニヤリと笑う。
それにフッと笑い返す二人。ちなみに、それ以降涼香はなにも語らない。
千春がそれっぽく言う。
「もちろん。大空姉妹が、無理をして二人同時に話していることをね」
その指摘に、日花と月花は別々のリアクションを取る。
「なんで分かったんですか⁉」
そう言って前のめりになる日花。
「……やっぱり無理がありましたか」
対して月花は天井を仰ぎ見る。
春と秋なら「「なななっ……なんだって〜⁉」」的なリアクションを取る。それも二人同時にだ。
千春は立ち上がり、狭いスペース内を行ったり来たりして語り出す。
「最初は私も騙されかけたさ……まさか春と秋以外にも同じことできる双子ちゃんがいるなんて、ってな」
「「私達だから習得できた節があるからね。でも大空姉妹もよくやっていると思うよ? 短時間とはいえ、完璧にできていたんだから」」
「先輩……」「先輩……」
日花と月花は共にしゅんとして、上目遣いで春と秋を見る。
嬉しさと悔しさを綯い交ぜにしたように、指をしきりに組み替えて。
「二人は性格が結構違うから、細かいところでそういった綻びが生じる。だからどうってことないんだけど、二人みたいにやりたいのなら、まだまだだね」
そんな五人のやり取りを涼音は見ておらず、隣に座る涼香がそれっぽく腕を組んで目を閉じている姿に冷ややかな目を向けていた。
もう帰っていいのかなと、涼香がなにかやらかす前に退散した方がいいような気がするのだ。
大空姉妹は間違い無く、一年生のそういう枠だ。見てはいないが、どうせ成績は全て学年トップだろう。無駄に賢い相手、しかも下級生。面倒事にならなければいいが。
千春が暇していて良かったと今ばかりは思う。
「涼音」
そんな中、声を潜めた涼香が涼音をちょんちょん突っついてきた。
「なんですか?」
とりあえず涼音も声を潜めて返す。
涼香は柔らかい笑みを浮かべて、内緒話をするように、涼音の耳元で囁いた。
「今日の夕食はなにかしら?」




